松竹座初春歌舞伎・初めて触れた女の肌
一月ももう最終週なんですね。早っ!。
書くことがいっぱいあるのにUPする時間がない売れっ子芸者です。誰がやねん!
年末の風邪がまだなんとなくスッキリしない年明け早々
松竹座初春歌舞伎・昼の部に行ってきましたよ。
咳は周りの迷惑だ。それだけが心配。
「浅田飴」「ヴィクスドロップ」「龍角散」をバッグに入れ開演前に麦門冬湯を飲みマスクをしました。お蔭で咳ひとつこぼすことなく見終りましたイエィ
その二週間後には夜の部を観てきました。着物で行きたかったんだけどこの日は寒波襲来の予報雪道で滑って転んだら大変!と思い断念しました。
ということで怒涛の観劇記録です。まずは「昼の部」
幾ら暖冬とは言え「今やる?」の「鳴神」
華やかな長唄が新春らしい獅子物舞踊「枕獅子」
上方らくご「らくだ」より「らくだ」(まんまやがな)
の三作品でした。
(鳴神)なるかみ
本日のブログタイトル、過激でしょ?
えへっ女の肌うんぬんの話でっせ!
優等生でお勉強ばかりしてた子ほど簡単にオチルもんだわね
ええ。女人禁制の山奥(洛北・岩屋不動)で日夜修行に励んでいる鳴神上人(愛之助)のことざます。
ウブっちゃあ聞こえがいいけど、要はマスク付けた競走馬みたいなもんで前しか見えないお方。
だから朝廷がいう事を聞いてくれない(戒堂建立の件)からって自慢の法力で龍神を封じ込めちゃったの。おかげで世間では一滴の雨も降らない日照り続き
困り果てた朝廷は必殺仕事人を送り込むのであります。
この仕事人、絶世の美女です。おまけに未亡人の設定。
未亡人は美女に決まってるのよね、昔から・・
名前を雲の絶間姫(壱太郎)と申します。
ストーリーは明快です。
真面目ちゃんが女人の色香に負けて破戒
まんまと結界を破られる・・以上終わり。
・・・・歌舞伎が解りにくいと言われる理由の一つに特殊な時代背景の知識が必要であったり、義理や人情が織りなす複雑な縦糸横糸の絡み合いだったり、現代人には理解不能な悲劇性だったり・・(あちゃ。理由ひとつじゃないわね)
するんだけど、
この演目に関しては古今東西人類共通テーマである
「理性は本能にゃあ。かなわん」
ということですのでアメリカやヨーロッパに持って行ってもウケるし、ましてマツタケが目論む「新規客層の獲得」にはもってこい。カンカン日照りの真夏の話であろうがかめへんかめへん。相手は素人や!ってなものでしょうか
しかも、誰が演(や)っても面白いしね(皮肉ではない)
おおらかなエロチシズムが楽しく、勇壮な振りも見ごたえのある名作であります。
歌舞伎十八番の古典劇という事で上演回数も多くいろんな演者を見てきましたが富十郎が良かった。徳三郎が良かった・・・って申しますまい。
この、未亡人の胸にそっとしまっておきましょう。
昔(25年くらい前)高校生対象の歌舞伎教室で「鳴神」をやっているのに高校生でもないのに潜り込んでみたことがあります(我當の上人)
いやいや。それはあかんでしょ。18禁でしょ。
猥雑なセリフのやり取り・・高校生には濃ゆすぎる。
とは言え、経産婦・おたまでも絶間姫の仕方話に
白雲坊(松十郎)の
「とけるわとけるわ」
に続く黒雲坊(千壽)の
「そなたは溶けるか知らぬが、わしゃ木になった」
という意味が最近やっとわかったという純情さに我ながらビックリポン。
一か所。聞き逃しかもしれないけれど上人が絶間の乳を触る癪を介抱するくだりの
「鳩尾の下を・・それから下が・・それから・・その下が・・極楽浄土」というセリフ。あったっけ?
きわど過ぎて省いたのかしら・・よくわかりません。
そしてもう一か所。見逃しかもしれないけど「柱巻きの見得」
全然残っていないのです。これをやらないってことは絶対にないわよね?ラブリン。
ま。印象が薄いってことにしておこう。
盃事からの表現がサラリとしすぎて面白くない。・・・破戒後の変わりよう(酔態の妙)。白雲・黒雲に揺り起こされてからの驚き怒りにメリハリが無い。
誰がやっても面白いとはいえ、見得やぶっ返り、飛び六法という折角の荒事のスーパー必殺技を予定調和ではなくあっと驚くスケールの大きさで見せて欲しかったです。
壱太郎の絶間。若さゆえか清潔過ぎて官能的というまでには至らなかった
と。未亡人おたまから申し上げておこう。
正月から可愛げのないことばっかり、申し上げてしまいました
(反省)
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コメント
年齢を重ねて観る目が変わってきたのでしょうね。
若い時は何を見てもいやらしいと思いましたが、近ごろは何にも感じなくなって来ています。
それより演技力や演出の仕方の方が気になる様になりました。
おたまさんの備忘録です、今の年で感じて気になった事をきちんと記録しておいてください。
歌舞伎の奥深い鑑賞を充分に楽しめています。
投稿: スマイル | 2016年1月23日 (土) 13時04分
スマイルさんへ
聞くところによると、名優・九代目団十郎は「鳴神」を上演しなかったそうです。
庶民におおらかに受け入れられてきた人気狂言を敬遠(選べる)できるのはある意味凄いけど、役者としての是非を考えた場合如何なものかと・・好き嫌いだから仕方ないけどそれじゃあ、楽しんでる観客が馬鹿みたいじゃない?って思います。
どんなにエライ坊様でも生身の人間だという「人のもろさ」のテーマやテンポ良い話の運び、軽妙なセリフ、荒事のスケール。どれをとっても「十八番」にふさわしいと思います。
投稿: おたま | 2016年1月23日 (土) 15時50分