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2021年9月30日 (木)

赤いポスト



25年以上昔の事。
一人の若い男性と知り合った。
彼は、極端に言葉数が少なく、目をあわそうとしないが礼儀正しかった。
気安く話しかけづらいものの、決して感じの悪い青年ではなかった。
20代半ばに思えた。

非常に珍しい苗字で、それをたまたま私が「読めた」ことがきっかけで会話するようになった。
ある日、彼がポストに手紙を投函するところに出くわした。
25年前。世の中はポケベル全盛期であり、誰もがスマホで会話やメールを交わす時代ではない
(今の若者はショルダーバッグのような携帯電話を知っているだろうか)
とはいえ、彼のような若者が大事そうに、分厚い封書をポストに入れる姿は、古風というか何となく珍しい気がして
「ラブレター?」と笑いながら聞いた。

それには答えず、彼は話しだした。
「自分。田舎に妻がいるんです。子どもも」

「まあ。そうだったの」

ポストから同じ場所に向かう道すがら話をしてくれた。
初めて付き合った女性と結婚すると昔からきめていたこと。
今は事情があって会えないこと。
彼女のお父さんがいい人だから心配ない事。
子どもに会いたいこと。

・・・・・

それからも、相変わらず彼は無口で静かな青年だったが目が合うとにっこりしてくれた。
今頃どこで何をしているのかと、昨日のポストの写真を見ながら思い出していた。
人には誰にでも訳があり、事情があるのだけど
きっと、良い家庭を作って幸せに暮らしていると思いたい。

珍しい苗字と赤いポストとまるで己を律しながら生きているような彼。
忘れられない記憶である。

 

 


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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

赤いポスト懐かしいですね。今から半世紀以上も前大学生と文通してました。彼からくるのは綺麗な便箋と封筒に入ったお手紙、しかも毎回速達。私の方はそっけない真っ白な封筒でしたがそれでも投函する時はあの赤いポストの中まで手を入れドキドキしたことを思い出します。若かった~。
山の郵便配達ってドキュメンタリー映画ではなかったですか?何となく記憶にあります。

投稿: パコ | 2021年9月30日 (木) 22時35分

★パコちゃんへ
「文通」懐かしい響き^^
もう、死語になっちゃうのかな。
「ラブレター」もね。
のんびりした時代でしたね。時間をかけて愛を育てていく・・う~んロマンティック!
パコちゃんのその後はどうなったのかしら???

山の郵便配達。ドキュメンタリーではないのですが淡々と美しい風景や純朴な人達がえがかれています。見終わった後に心の中にきれいな風が吹き抜ける。静かに「いい映画だった」と思う。そんな映画ですよ。

投稿: おたま | 2021年10月 1日 (金) 08時47分

★パコちゃんへ
現実は厳しいですね。
現実を前にして、いつまでも夢見る少女じゃいられない!
私も歴代のBFを知っている友人たちに最終兵器(ひっちゃん)を会わせ(見せ)たら
「なんで?」と言われました。
ほっといて下さい。あたしが「いい」といってるんだから・・。

投稿: おたま | 2021年10月 2日 (土) 08時31分

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