« 鉛筆を貰った | トップページ | お取り扱い事業所 »

2020年10月19日 (月)

映画「ポルトガル、夏の終わり」



「ここには何かがある」

主人公である女優フランキーに「ここ」に呼ばれた親友がそうつぶやく。
「ここ」 ポルトガルの世界遺産シントラの街である。

Img_6807

女優フランキーは自らの一族と親友をシントラに集める
最初の夫に同性の恋人が出来た以外は思うまま、意志のままに人生を歩いてきた。
全てを仕切られるだけの女優としての成功と、人としての魅力が備わっていたのだろう。
彼女の死期を前にして集まった元夫との家族、今の夫との家族、そして親友。
フランキーは彼らの「彼女以後」を問題なく暮らしていけるようもくろんでいたのだ。

Img_6808

最初、登場人物が多くてそれぞれの持つドラマがちょっと煩雑だなと思ったのだが
このシントラの美しい(とだけでは言い表せない)景色にゆっくりと溶け込んでいく。

思うようになるし、思うようにならない。
それでいいのではないか。どうこうしようと心を煩わせなくても時は流れ時代は移って行くのだ。

そう、このシントラの街のように。

   

この世の西の果て。
詩人バイロンをして「この世のエデン」と言わしめたシントラ。

私は観光客として14世紀の王宮を見学した、たった半日の訪問だったが
街の独特の空気感が妙に印象に残っている。
王室や貴族の保養地としてのおもかげと言ってしまえばそうだけれど
自分が薄いオブラートの中に入ったような、深い森に迷い込んだような・・
シントラにはそんな不思議な魅力があった。
この映画を観たいと思ったのも「シントラの景色」を見るためだった。

   

登場人物全員が集められた山上のエンディング。
移りゆく空の美しさに心を奪われる。空それはやがて果てしない西の海であることに気付く
フランキーの思惑は外れ、意外なカップルが誕生するのではないか、そしてそれも又、いいのではないか
人生は思いがけない。それでいい。とそんな余情をのこし・・

先陣を切って山を下りてくるオレンジ色のスカート
フランキーの颯爽とした足取りが美しい。

   

美しいアズレージョの数々。遠くから時折聞こえるファド。
美しいドビュシーの調べ
パンフレットにもあったが、この映画のもう一つの主役は「この上なく神秘的で美しい世界」シントラであると。

私もそう思う。

65席のミニシアターに観客は15名。去年の秋から約1年振りの映画鑑賞でした。
いやあ。やっぱり映画っていいですねえ。


サイドバーのバックナンバーをクリックすると全記事がご覧になれます。
2009/9~2013/8 の記事はコチラです⇒http://nurebumi.cocolog-nifty.


 

|

« 鉛筆を貰った | トップページ | お取り扱い事業所 »

歌舞伎・映画」カテゴリの記事

コメント

おたまさん、こんばんは。

「ポルトガル、夏の終わり」はなかなか評判の映画のようですね。おたまさんの解説を読んで私も観てみたい映画となりました。

おたまさんはシントラの街に出かけたことがあったのですね。私の方は30年前にポルトガルは行きましたが、シントラには行けませんでした😭 私の知人がシントラの写真をアップしており、その中でペーナ宮殿などを紹介していました。黄色い壁と見事な彫刻、回りの木々の緑と美しい世界遺産の街のようですね。

おたまさんも久しぶりに映画館での鑑賞だったようですね。私も1年ほど映画館で観ていません。 やはり良い作品は気合いを入れて映画館で観たいものです😄

投稿: omoromachi | 2020年10月19日 (月) 22時12分

★omoromachiさんへ
ポルトガルという国そのものが「昔の光」の中に在るような気がしています。そのなつかしさの中でゆっくり時間が流れる街シントラ。主人公の人生と「今」にピッタリです。

でも、現実的な私は息子が投げ捨ててしまうポメラートのブレスレットが500万円だ。とか彼女が寄付するパリのアパートは約5億円かあ・・とかすぐにユーロを円に換算してしまっています。^^

投稿: おたま | 2020年10月20日 (火) 09時05分

おはようございます。
 シントラへは2006年にツアーで周っただけですが、王宮など印象に残っております。
アズレージョが綺麗でした。

 ご覧になられた映画、機会があったら是非、観たいと思います。

投稿: マコママ | 2020年10月20日 (火) 11時25分

★マコママさんへ
シントラへ行かれたのですね^^
ロカ岬に寄って?
小さな街ですので歩いて見られたら良かったですね。映画に出てきた場所をもう一度ゆっくり訪ねてみたいです。
映画はアート系のミニシネマでしか上映されていないようです。もし見る機会がありましたら事前に相関関係をお教えしますよ。
最初なにがなんだかわかりませんので^^
まあそれも映画の面白さですけれども。

投稿: おたま | 2020年10月20日 (火) 11時56分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 鉛筆を貰った | トップページ | お取り扱い事業所 »