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2019年8月 7日 (水)

原爆忌



俳句では「原爆忌」は夏の、「終戦記念日」は秋の季語です。
あいだに立秋を挟んでいるからなのですが、
「原爆忌」のやりきれない怒りと悲しみ、
「終戦記念日」の悔恨と寂寥感
のような季語の持つ微妙なニュアンスの違いは「季節」に依るところもあるのではないかと思っています。

  
今月の兼題は「原爆忌」傍題に原爆の日。広島忌。長崎忌。

う~ん。原爆も戦争も体験していないですからね。
いまだかつて、一句も作ったことがありません。

この季語で思い浮かぶのは・・・
クラスメイトに「私、被爆二世なのよ」と打ち明けられた。
彼女の雰囲気から「へ~。それって隠さなアカンことなん?」と驚いた。想像力の貧困な、わかっちゃいない女子だった。自分。

母から聞いた話。
徴用逃れの工廠で一緒だった男性が、所用で実家に帰ったのが8月5日。

数週間後に「おかげで何事も無かった」と家まで会いに来てくれた。その一か月後、体中の穴と云う穴(母もまた聞き)から血と膿を噴き出して亡くなった。
その人と母は同い年、19歳だった。

  
私19歳の時、広島の原爆資料館や平和公園に行きました。
何も・・と言うのは語弊があるけれど、あまり、感じるものがなかった。
それが正直なところです。
私が特に鈍い人間なのかもしれない。
あまりにも想像力の及ばない世界だったからかもしれないけれど。
今ならどうでしょう。私も大人になったので・・。
被爆体験者の知り合いもでき、話も聞き、本も読んだ・・
でも、どうでしょう。本当のところは何もわかっていない気がしています。

  

L
(2015・夏)
 

  
さて。俳句です。

 「コンクリートに木の影折れて原爆忌」

 「梅干が真中にひとつ広島忌」

 「ヘアピンに鉄の匂いや原爆忌」

 「熱中症に座して八月六日なり」

 「土塊のゆらめいてをり原爆忌」

 「散水車九条署名に近づきぬ」

はあ。とりあえず・・・こんだけ作りました。


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コメント

原爆忌、敗戦忌。
いずれを詠むにも、覚悟が要ります。

「被爆体験者の知り合いもでき、話も聞き、本も読んだ・・
でも、どうでしょう。本当のところは何もわかっていない気がしています。」

おっしゃるとおり、脳では理解できたつもりでも、
胃の腑、心臓、もしかしたら膀胱から這い上がってくる、鈍痛のような気分は、
被爆者はともかく、戦争体験者(どこまでの戦争体験かわけりませんが)は今でも折りにつけ、消えないそうです。

じゃあ、戦後生まれた人たちに、
敗戦、あるいは戦争の句は詠めないかといえば、
「否」と言いたいのですが・・・。
ただ、その方々の鈍痛をどれだけわが身に取り込むことができるか。
そのためには、多くのスケッチと眠れなくなるような推敲が求められるのですね。

私は毎年、敗戦の句をそれこそ捨てるほど詠んできました。
それは、戦争末期に産後死で母を失い、次いで父を爆撃で失ったからかも知れません。

で、俳句を始めてから20数年。
敗戦句でやっと自分で認めた作は
「敗戦忌誰もが誰かの所為にする」

これ一句なんですねー!

つまらない話・・・・

投稿: NANTEI | 2019年8月10日 (土) 22時12分

★NANTEIさんへ
今回「原爆忌」の兼題を出してこられたのは82歳(見た目62歳!)の男性です。
戦争でお父さんを亡くしておられます。
終戦でなく敗戦と必ず訂正されます。

戦争を体験として語れる人が少なくなり
色々な形で戦争の影響を受けて育った人が高齢になり、そして私の世代では語るべき何も持っていないことに愕然とします。
でも、私たちには「戦争を知っている大人」たちがいました。社会がありました。
その記憶は大事にしたいと思います。

あの朝、蝉が鳴いていた。石榴の実がたわわに生っていた。青い空だった・・
自分の「今朝の庭」にあの日を引き込むことが出来るのが「俳句」かと思います。
想像の句でしかありませんが、戦争や原爆に思いを馳せる機会をこの兼題に与えてもらって良かったと思います。

以前、兄ちゃんのところでファミリーの写真を見せて頂いたことがあります。
素敵なお父様とお洒落な(兄ちゃんの)おば様たちの写真です。
平和で幸せな暮らしを奪ったのは誰か・・
とみなが言います。
「誰もが誰かのせいにして」
本当にそう思います。

投稿: おたま | 2019年8月11日 (日) 08時57分

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