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2019年6月14日 (金)

「兄消える」


 


この映画、小学生の男の子と40代の女性が出ているのですが
この二人以外は出演者ほぼ、オールドピーポー(old people)
そして、観客も見事なまでに「中高年」「超高年」でした。
なんてったって、火葬場の煙を見上げるシーンから映画が始まるんですから 

「兄消える」(2019・5公開)監督・西川信廣

(これから見る人はスルーして下さいね)

長野県上田市で鉄工所を営む男(高橋長英)は真面目にコツコツと工場を守り独身のままに76歳になった。
老老介護で100歳の父親を見送り、周囲に「これからは自分の為に好きなように生きろ」と言われている。
そんな彼の前に40年も行方の知れなかった80歳の兄(柳沢愼一)が現れる。
訳アリの女を連れている・・・

この映画を観たかった第一の理由が「柳沢愼一」さんです。
今年86歳になられるそうです。

我が家にテレビが来たのが1959(昭和34)皇太子と美智子さんの、ご成婚パレードを見るためでした。
それまでは町内には(電気屋さん以外は)散髪屋さんにしかテレビが無かったのだけど、店が閉まったお客さんの椅子にちょこんと座ってテレビを見上げていたのを覚えています。そのころ、いわゆるテレビ創世記に柳沢愼一さんはよく出ておられました。
よろめきドラマでスターになる池内淳子さんと結婚。そしてスピード離婚。
アメリカの人気ドラマ「奥様は魔女」のダーリンの声もやっておられました。


2005年。夫ひっちゃんの亡くなった年だからよく覚えているんだけど。
「メゾン・ド・ヒミコ」という映画を観ました。
主人公(オダギリ・ジョー)の恋人である元ゲイバーのママ(田中泯)が作った「ゲイのための老人ホーム」を舞台にした、
切なくて、温かくて、ハッピーで素敵な映画でした。
この映画にゲイの元教員と言う役で柳沢さんが出演しておられたのです。
子どもの頃に夢中で見ていたテレビに出ていた人です。驚きました。
計算すると、当時72歳ですね。良い味を出しておられました。

ま。そんなわけでこの映画を観に行って来たのですが、
スラリとしたスタイル。役柄とは言え小粋なファッション。劇中でチラッと見せる元ジャズ歌手の力量。
名ボードビリアンの軽妙で洒脱な味わいは変わっておられませんでした。

今の、お笑いの人と違い、昔の喜劇人は「芸人」という呼び名にふさわしく「芸」を持っておられたと思います。
なんてったって、86歳ですからね。
多分アフターレコーディングかなと思う箇所はありましたが、
自由で気まま(ある意味好き勝手)でありながら寂しさと優しさを抱えた人物にぴったりだったと思います。
映画を観て来てウィッキペディアを覗いたら、柳沢さんは「福祉活動家」として長年にわたり生きて来られたようです。

高橋長英さんが素敵でした。
無口で、朴訥としてピュア。男は無口がええなあ・・。
老人を演じているのか、本当にこんな老人になっちゃったんだろうか高橋長英さん。

銭湯の浴槽でアダムスミスを語るところが如何にもな江守徹さん。
これは文学座からのプレゼントだと思いました。
(西川監督は文学座の演出家)

そして、もう一つ、あっと驚く特別出演。
エンドロールの画面の中で振り向いたピンクのスーツの女性!
高橋長英さんのお見合いサイトに応募してきた「雪村いづみ」さん。
共鳴できる二人になれる予感をのこすラストシーンもおしゃれでした。

あ。この映画見たいなあ。

と思っても私の場合、そそられるものがマイナーなのか
大抵の場合、上映期間がすぐに終了してしまいます。
例えば、田中泯主演の「ほかい人」またどっかでやらないかな。
(この映画も信州が舞台?門付けをし、泊めてもらったお礼に「俳句」を一句置いて帰ったという。実在の漂泊の俳人がモデルです。)


そんなわけで、ぴゃっと行って来て良かったです。終演の前日でした。

映画は映画館で見るのが好きどす。

(私の見間違いかもしれないけれど、劇中歌の作詞がトシコ・ムトーさんだったやうな)

    


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