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2018年7月15日 (日)

大阪松竹座七月歌舞伎・高麗屋襲名興行


baseballbaseball


(クソ暑苦しいなか、ようお越しheart04
  今日のボロ具・ブロ愚は 長いです。体力のない方はUターンしてね)

clover

七月初めに大阪松竹座「七月大歌舞伎」へ行ってきました。
高麗屋の襲名興行です。

昼の部はまず舞踊「廓三番叟」(くるわさんばそう)
安定の孝太郎と踊り巧者壱太郎
二人による目出度くも、それでいて浪花らしいはんなりさのある演目での幕開けでした。

引き続き、菅原伝授手習鑑より「車引」(くるまびき)
これまた慶時には欠かせない華やかな舞台。
又五郎の松王。梅王に鴈治郎。そして鴈雀の桜丸という、今の歌舞伎界を引っ張る中堅どころの勢揃いで見ごたえあるりっぱな「車引」でした。
ちなみに杉王丸は種之助クン(オバチャマ応援してるよガンバ!)

さてさて、お次は「河内山」
松本幸四郎改め二代目松本白鸚の河内山宗俊です。

現代劇・テレビ・翻訳劇・ミュージカルと新劇の世界ではキラッキラに輝くこのお方ですが、はて?歌舞伎の舞台では納得させられたものが無いというのがワタクシの率直な感想です。
口調良く、音吐朗々・・しかしどこか違う。抵抗を感じる。
妙に深刻なんです。しんどいねん。
思うに、頭が良すぎるんやと思います。皮肉に聞こえますか?

目出度い襲名興行に水を差してはいけません。
次、行きます。
(河内山のあらすじ知りたい方はコチラ

clover

私が、市川染五郎改め十代目松本幸四郎(以下染五郎と書きます)を初めて見たのは
今はない道頓堀中座の開演一時間前の楽屋口の横の電信柱の影からでした。
怖いですねえ。(今やったらあんなとこによう立ってません。暑いし・・。若かったんですねえ)

洗いざらしのジーンズに少し撚れたTシャツ。細い細い男の子がやって来ました。
当地大阪、初上陸初お目見え。当時19歳の染五郎です。
今から27年前の夏のことでした。

この日の舞台をよく覚えているのは座席が凄く良かったからです。
「左一番」。この席で仁佐衛門さまの荒川の佐吉に大泣きしました。
800席ばかりの小さな小屋の「左一番」!ものごっつい臨場感ですわ。

この時染五郎は絵本大功記の武智十次郎と、もう一本にも出ていますが、記憶に全くございません。当時ブログもやっていませんでしたので記録にも残していません。

clover

で、当時の染五郎については言葉が悪いですが「海の物とも、山の物とも」が大方の歌舞伎ファンの見方だったのではないでしょうか。

14歳で舞台ハムレットの主演に抜擢されたときは「やっぱりね、パパの道(翻訳劇)に進むのね」と思われ、
しかしながら歌舞伎でみせるひ弱で健気な演技が年頃にも見合って、「真女でいけるんじゃね?」とおもわれ、
たまには「つっころばしもいいかもね」などという具合。
いいじゃん。義経で。それで当ててもそれはそれで素晴らしいよ。

いずれは弁慶役者になどとだれが想像したでしょう。

clover
ここで少し「勧進帳」にふれておきましょう。
(今日のblog 長いって言うたでしょhappy02

脚本・演出・地唄・・全てにおいて優れる、THE歌舞伎ともいえる「勧進帳」
ストーリーはご存じのとおりで、端折りますが
幕が上がると正面に松羽目の舞台。五色の幕。
雛段に長唄。下段には裃のお囃子方。
もう。これだけでワクワクです。
それはなぜか。今から始まる地の長唄が名曲中の名曲と知っているから。

歌舞伎の「歌」や~。

(細かい話をしたら終わりそうもないのでひとつだけ)
私は前々から疑問に思ってることがあります。知っておられる方がありましたら
ここ⇓(下にテロップ流れる)まで

弁慶が一世一代の張ったりをかまして勧進帳を読み上げますね。
この時富樫が覗き込む所作があります。
今回の仁佐様はハッとして小さく納得の演技だったとおもうんです。
勧進帳は何度も見ていますが、この時弁慶、とっさに巻物を隠し束に立って「あかん!バレてもたんとちゃうやろか」と言うふうに上手を見上げる。今回はそこが無かったような。見落としたのか?
私の疑問と言うのは、この時点で富樫は「義経一行と見破っていたのか」
ならば、そのあとの、耳打ちからの「しばし待たれよ」が不自然でしょ。
覗き込んで白紙とわかったものの、そこまでの確信がなかったのか・・

そこらあたりがもやもやもやもやしてますねん。

ま。そんなわけで、
弁慶幕外の飛び六方ですわ。
幕がスーと引かれ、自分でもようわからんのですが期待感と不安感が入り乱れ「やってごらんなさい」って少し意地悪な気持ちもあり~の。

いいのよいいのよ。あの富十郎だってソビエト公演のとき(ほんとにお気の毒な事情で)尻もちをついたのだから・・・

富十郎と言う戦後最高の実力をもってしても弁慶になる道のりは長かった。
一門一家に収まり切れない天才には腕の振るい様の無いのが歌舞伎の世界なんだ。
私は富十郎の壮観な舞台を観て歌舞伎ファンになった。

染五郎ちゃん。良かったね名門で。
ささ。やって御覧なさい。飛び六方
(やっぱり。意地悪)

clover

いえね。
今回の舞台。期待以上の予想の埒外の良い弁慶だったのですよ。
仁佐衛門・富樫の胸を借りてのびのび頑張ってね。くらいに思っていたワタクシ
嬉しく裏切られました。

熱演でした。好演でした。胸がジンとしました。
力感あふれる素晴らしい弁慶でした。
細かいことを言えばきりがありません。
ワタクシも何様でもありませんし・・

富樫の力量に支えられた幸運も含めて、彼の度胸の良さと芸に打ち込んできた結果のたまものであると私はおもいます。
うん・及第点やで。ってアタシ何様?

(長々とご無礼しました)


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コメント

久しぶりにおたまさんの歌舞伎書評、
感動して読みました。
最近は観たい役者さんが少なくて大阪まで出かける気になれなくてね。(年か?)

素人の私は
白鴎さんやら芝かんさんに期待はしていませんが
幸四郎さんはいいなぁって思います。
ま、仁左衛門さまにはおよびませんけど。

投稿: kimi | 2018年8月 1日 (水) 11時26分

baseballkimiさんへ
新幸四郎さん。骨太の役者になられました。
今のうちにますます精進していただきたいです。
観たい役者がいないという事もありますが、ほんま松竹って東京一極主義やわ。関西ないがしろ。舞台そのものが掛からないので話しになりません。
京都南座がやっと改修完了ですね。
顔見世は高麗屋三代の勧進帳らしいです。
富樫が仁佐さまだったら借金してでも見に行くんだけどなあ。

投稿: おたま | 2018年8月 1日 (水) 21時22分

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