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2017年5月22日 (月)

噂の女


baseballbaseball


噂の女
ムード歌謡のようなタイトルだcoldsweats01
(監督・溝口健二。 撮影・宮川一夫。音楽・黛敏郎
1954年 モノクロ 大映)

今ではどうってことは無いが当時はセンセーショナルで目を引くタイトルだったのであろう。

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歌舞伎ファンとしては七代目大谷友右衛門が出演していること。舞台が遊郭・島原である事が大いに気になっていた。
大谷友右衛門は五年前に亡くなった四代目・雀右衛門(人間国宝)の事で現・中村雀右衛門の父に当たる。
紛れもない梨園の御曹司ではあったが、戦争をはさみ歌舞伎界の衰退もあり、無事復員はしたもののすんなりと歌舞伎の舞台へ復帰することは叶わなかった。
多くの歌舞伎役者がそうであったように彼も映画界へ。
女形として歌舞伎に戻るのは昭和30年の事である。

先代雀右衛門を思うとき、私は「急がば回れ」という言葉が浮かんでくる。
映画の世界へと遠回りを余儀なくされ、焦りのようなものは無かったのだろうか・・にもかかわらず歌舞伎に戻った彼は地道にコツコツと「型の芸」を追い求めた。
愚直とも思える誠実さで歌舞伎というものに向き合ってこられたのだと思う。
歌右衛門・梅幸という巨大な立女形の下にあっても忠実に型を究める姿勢を崩さなかった。
「遠回りに見える最短距離」ひたすら王道を歩んだ役者であった。
先代雀右衛門のきめ細かで丁寧な舞台が忘れられない。

(あらま。映画の話をするはずが・・語ってしまいましたわ)

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映画の中では終始一貫ポーカーフェイスhappy01
木村功がチョッチ入ってるが彼のようなフェロモンは無い。
そして、おそろしく段田安則さんそっくりなのには驚いた。

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あらすじ
家業が遊郭であるという理由で婚約を解消された娘・久我美子は自殺未遂を図り傷心のまま東京から実家のある京都へ連れ戻される。映画はその場面から始まる。

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(現在の「輪違屋」
ここがロケ地として使われたっぽかった。写真は数年前べべちゃんと島原散策をしたときのもの)

実際の輪違屋は置屋兼お茶屋であるが映画の中でもこったいさん(太夫)を置き、店で接待もするし揚屋へ呼ばれたりもしている。
で、その接待の中身であるが、なにせ昭和29年の話である。春の売り買いが堂々となされており、映画の中でも、ちゃびんひげ親父どもが、くじ引きでお相手(こったいさん)を選ぶ場面。過酷な仕事で体を壊す太夫。などが描かれる。
そんな大夫さんのために医師の手配をしたのが、置屋件お茶屋の女あるじ、田中絹代であり、愛人である青年医師・大谷友右衛門には独立させて医院を開業させてやる腹つもりである。

そこへ、傷心の娘が戻る。治療に青年医師が当たる
そんなもん、あらすじ見え見えですやん。
殿方、若い娘が良いに決まってますやん。元々フラフラした男やったみたいで、ちょっと年が離れているけどカネモマダムがお金を出してくれるという話にさほどの抵抗はない。
マダムの方は真剣。夢でしかなかった「家庭」を持ちたいと思っている。
事情を知らない娘は、青年医師に惹かれていく。

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愛人の裏切りに嫉妬の炎をもやす田中絹代がいいですね。
女って弱い生き物ですわ・・・当時はね。
久我美子さん。きれい。ワンピースのウェスト細い!
軽蔑していた家業で自分が東京の音楽学校に行かせてもらったことは負い目であると同時に娼婦=こったいさん達へ心を開き、寄り添って行くのは自然な流れでしょう。

愛人か娘か! 恋人か母か! ささ。お話はどのように展開したのでせう。
興味のあるかたDVDもでているそうです。

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当時の遊郭の風俗や雰囲気がたっぷり味わえた。

この日は3本連続で見てお尻痛かった。
館内8割男性。
帰りのビールが美味しかった。


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コメント

四代目雀右衛門は若い時に映画界にいたとは知りませんでした。

この映画は全然知らなくて、とても興味が沸きました。DVDを買おうかと思ったけどVHSのビデオが安かったのでそちらにしました。

田中絹代と溝口監督が組んだ映画は絶対見たいと思っています。

投稿: のんのん | 2017年5月22日 (月) 16時59分

baseballのんのんさんへ
あちゃ!あらすじ言わない方がよかったですかね。ごめんなさい。
田中絹代をリアルタイムの映画館で見たのは「サンダカン八番娼館 望郷」でした。
当時はその演技に、なぜこの人が日本を代表する大女優なのだろうと思いました。
後から知るところによると田中絹代は「永遠の素人。演技が出来ない女優」と言われていたそうですね。
今頃になってやっと田中絹代の凄さに目覚め始めていますhappy01
先代雀右衛門はのっぺりとした(きっと)神経の図太い、悪い男の役がはまっていますよ。
溝口監督の女はあくまでも哀れで男はワル(それで当たり前)みたいな構図ですが。この映画では最後ちょっと、若い女性の成長ぶりがすがすがしい。←しゃべりすぎましたhappy02

投稿: おたま | 2017年5月22日 (月) 21時29分

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