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2016年12月13日 (火)

コーヒー店のマスター



ということで数日後タイヤ交換に行った。
この日は時雨もよう。

交換には一時間ほどかかるという。
例の営業マン氏も不在だった。

Dsc05937

二駅先に前から入ってみたいと思っていた店があった。
国道に面した二階建てのビルの一階部分が5軒ほどの店舗になっていて、そのうちの一軒が果物屋。
そして、たまたま空き室になった隣にその果物屋がフルーツを使った手作りジェラートの店をだしたのだった。
そこのジェラートが評判を呼び雑誌で紹介されたり、テレビの情報番組のクルーがやってきたりしてちょっとした町の名物店になっていた。

駐車スペースの無いところで、いつも車で素通りするだけだったのだ。

平日の昼下がり、時々時雨のくる肌寒い日なのに、ジェラートの店は満員だった。
若い客層。たまたまなのか男性が多いのも意外だった。

果物店のほうで林檎を買った。
このお店の娘さんだろうか・・クルクルと良く働く若い女性が銘柄の説明。味の違いや選ぶ時の注意点を親切に教えてくれる。

    歌ひたくなりたる冬の林檎かな 

林檎は冬の季語

    のぞみ号鞄の中に青林檎 

青林檎は夏の季語。
旅行と林檎という取り合わせは月並みであるらしいのだが「実際」だから仕方ない。リュックに朝食のフランスパンと林檎を放り込んで友達に会いに行ったのは青葉の頃だった。

今朝がた、吉野から届いたという大きな柿も買った。

子どもの頃「柿を買う」という発想は無かった。と地元の友人は言う。
どの家でも柿やイチジクや枇杷は当然のようにたわわに実をつけた。
飢饉に備えて柿の木を植えておくのだと聞いたことがある。

     碁石打つ音の時折吊るし柿 

ジェラートはあきらめて国道と直角に交差する旧道に入る
国道の喧騒は嘘のように遠ざかる。
近くにコーヒー豆を売る店があり美味しいコーヒーを淹れてくれる。

店の入り口の傘立てに数本の傘が入っていたのに客は誰もいなかった。
店の真ん中にはピッカピッカに光る巨大な焙煎機が置かれている。
あるじが驚いたように読みかけの新聞を脇に置いた。

豆の販売がメインなので7客ほどのカウンター席しかない。
コーヒーを点ててもらっている間なんとなく気まずくて話しかけた。

「やはりコーヒーがお好きでこの店を始められたのですか」

ぶっきらぼうに思えたあるじが意外にも可愛い笑顔で
「それが・・コーヒーは好きではないんです。酒がすきです」

それ以上話は続かなかったけど空気が和らいだ。

店を出ると時雨れていた。
「また、(しぐれが)来ましたね。お気をつけて・・」と声をかけてくれた。

ディラーへ戻ると営業マン氏が帰ってきていた
「来てはったんですかあ・・」人懐こい笑顔だ。
ミシュランのタイヤをはかせてもらった。なぜミシュランかという事もちゃんと説明してもらったが半分も分かってはいない。ただ、今ならキャンペーン中のお得な価格だそうだ。

今日はたった二駅だけどミニ旅行をした気分。

静かな時雨の中を歩いて・・良い日だった。

   ポケットの底に鍵束秋の雨

う~ん。これ「冬の月」の方がいいかな?


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コメント

鍵束って重いですね。
家、仕事場、車、よその家のまで持って出ます。
街中にも喫茶店が少なくなって、一休みできる場所ほしいです。

投稿: ばんび | 2016年12月13日 (火) 11時26分

【ばんびさんへ】
ばんびさんがお住いのところは喫茶店王国ではないのですか?
薄暗くてテーブルにおみくじルーレットが置いてあるような、クリームソーダーには真っ赤なさくらんぼう(チェリーとはいわず)が入ってるような・・そんな喫茶店、小さな駅前には必ずありましたね。
名曲喫茶などに連れて行ってもらったときは大人になった気分でした。
今はやけに明るくて、椅子が高くてクルクル回って、しかも自分で飲み物をはこぶ・・みたいなところばっかり!

鍵束・・なんか好き。

投稿: おたま | 2016年12月14日 (水) 10時06分

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