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2016年6月29日 (水)

映画「めし」


baseballbaseball


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  「原節子の日本語美しき濃あぢさゐ」 おたま
      (ハラセツコノニホンゴハシキコアジサイ)

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今回も句会の前に一本古い邦画を観てきました。
原作は林芙美子。絶筆です。

「めし」
1951(昭和26年)東宝・白黒
監督/成瀬三喜男 脚色/川端康成

clover

恋愛結婚と見合い結婚の比率が逆転するのは1960年代後半だそうで、
戦前の見合い結婚率はなんと七割!
映画の製作された1951年はまだまだ見合い結婚が主流だったのでしょう。
美男(上原謙)・美女(原節子)カップルは「恋愛結婚です」ということがわざわざ述べられます。
さらに映画の中では「最近は女が余って大変らしい」という会話が登場します。
「余っている」のは多くの適齢期の男性が戦争で亡くなっているからです。

お嫁に行けただけでも幸せheart04しかも人のうらやむ恋愛結婚!
原節子さんは独身の同級生からそう言われるのですが
その答えは・・・

「私。幸せそうに見える・・・?」 なのです。

clover
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「平凡」と「倦怠」って紙一重なんやね。

熱烈な恋愛結婚で結ばれたこの夫婦。
結婚5年目。大阪へ転勤してから3年になります。

「めし」を炊き、掃除洗濯。亭主の薄給でやりくりをする日々・・
ああ。東京へ帰りたいわ。
それはとりもなおさずこんなありふれた退屈な日々から抜け出したいということです。

夫の、跳ねっ返りの姪(島崎雪子)が東京から家出をしてきます。
お見合い相手が気にいらないんだとか。

平凡な家庭に変化をもたらすのですがそれがまた妻のストレスに・・
姪を送り届けるという名目で妻は母(杉村春子)や妹夫婦(杉葉子・小林桂樹)の住む実家へ帰るのでした。

ちなみに当時。東京~大阪間は8時間。
汽車は石炭と水で走ってたんでっせ!

原作はここまでのお話だそうです。
映画では・・・さてさて・・美しき人妻の運命やいかに・・

clover
映画を見終り、エレベーター付近で熟年ご夫婦の会話
盛り上がりのない映画やったなあ・・・」
刺激を求めて映画をみに来はったんやろか・・お気の毒。

どうでもいいようなささやかなテーマをな~んとなく描いて。
そこが面白かったんやけどなあ。

それに、当時の考え方やファッション。風景・・見どころいっぱいなんだけどな。

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65年前の大阪の風景が沢山見られました。

恵美須町から出ている阪堺電車が走っています。
夫婦の住まいの「天神ノ森」は今も面影を探せそうです。
手塚山はやはり瀟洒な住宅街です。
北浜の証券取引所。五代様の銅像は、まだ建っていませんよ。
(その節は、誰やねんこのおっちゃん・・鳥渡る。みたいな俳句作ってすんまへんどした)
中之島のライオン橋あたりからでも日銀が見えたのですね。
くいだおれ太郎君も現役やし。
巨大キャバレー「メトロ」(オトーサン知ってはりますか!)
女給さん。1000人を擁したメトロの現役時代は知らないけど、近くにあったキャバレー富士は、その後「フジ」というダンスホールになり、おたまも踊りに行ったことのあるあの「フジ」だと思います。
ダンス?そうさ。ゴーゴーダンスだよっ!(それが何か?)

夫の株屋(証券会社)には黒電話がズラリと並んでいます。
さしずめ今ならパソコンの端末機ですか。

女性のヘアースタイル。前と横にパーマネント、横はタイトにして耳に髪をかけます。
そうそう。サザエさんっぽい。アレ流行してたのね。節子さんのお友達(風見章子)はじめ皆さんあんな感じ。母や叔母の古い写真でも見ました。
私達の時代なら、さしずめウルフカットねcoldsweats01オオカミヘアーcoldsweats02
流行って怖い・・・

男(大泉滉)名前の手紙が来たといって島崎雪子さんは父(山村聡)に叱られる。
東京に迎えに来た夫は銭湯に出かける(外湯が普通の時代だったのですね)

どれもこれも、時代を感じさせます。

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夫が姪っ子の為にお茶の用意をします。リーフティの缶をちょっと振ってみたりして・・
そんなもん。昭和26年に西成の長屋の丸い卓袱台でティセット並べるなんて、大阪庶民には絶対にありえへん。
このご夫婦はやっぱり東京の都会のお方なのだ!

帰って、従兄(二本柳寛)と美術展に行きはったんやね。(この時の絞りのお召の原節子さんが美しい。何色でしょ?)
大阪では三年間に映画を三本しか見たはらへん。
原節子さん東京に帰りたい気持ちわかりますよ。

でも帰って来た地元で新聞の立ち売りをしている、クラスメート(中北千枝子)を見かけてしまう。
出ました!千枝子さん。この方。夫に逃げられたり、夫から逃げて来たりの役が多くないですか?偶然かしら。
今回は、戦地から帰らぬ夫を小さな息子とふたりで待つ妻。ラジオの「尋ね人」も戦後6年経っていますから・・情報も少なくなっているのでしょう。
その姿に原節子さんも思うところがあるようでした。

(古い邦画シリーズ、次は10月に予定されているようです。楽しみ。)


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コメント

今から60年も前の映画、たとえば成瀬監督や小津監督などの原節子出演のものは おたまさんの仰るとおりに美しい日本語、そして今では使われない言葉がたくさんで何かウットリしてしまいます。

映画「めし」は見ていないので、ネットであらすじを読みました。

当時の主婦は少しぐらいの不満はあっても 家庭を守って暮らすのが一番幸せということですね。

それにしてもこの映画の主演者はすごい役者さんばかりですね。DVDを借りてみようと思います。

投稿: のんのん | 2016年6月29日 (水) 19時06分

baseballのんのんさんへ
多くの作品とは違い、この「めし」は所帯やつれした原節子さんなのですが、それでも作中で「きれいな奥さん」「相変わらずきれいねえ」「お綺麗な方」と言われ倒しておられます。^^
当時の主婦の家事は今の数十倍の時間と労力。かまどだし。たらいだし・・
「私は貴方の女中ですか」とも言いたくなりますね。
都会では女性の働く場所もふえ、女性が自分の生き方に目を向け始めた頃のおはなしですね。映画では結局元の主婦に戻りますが。

投稿: おたま | 2016年6月29日 (水) 20時13分

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