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2014年7月23日 (水)

七月歌舞伎・寺子屋


baseballbaseball


片岡仁左衛門をいくら褒めても、それは当然のような気がするので
本日はビギナーのための歌舞伎案内にいたしませう。

当初。歌舞伎カテゴリーはそういうつもりだったのに
最近は腹を立ててばかりでごめんあそばせ。

clover

菅原伝授手習鑑・「寺子屋」

「菅原道真」。スガハラミチザネ
受験生諸君のlast hope「お勉強の神様」天神様のことです。

「菅原伝授手習鏡」(すがわらでんじゅてならいかがみは歌舞伎の出し物でも三本の指に数えられるチョー有名なもので、道真公にまつわる長い長い物語です。
今でもそうだけど、昔はもっと珍しかったであろう三つ子の兄弟が中心人物となりお話が展開してまいります。

そのなかの四段目が、先日おたまが観てきた「寺子屋」でございます。

φ(..)メモメモ。しなくていいですよ。テストにはでません。

・・・・・・・・

「せまじきものは宮仕えだなぁああああ」

これは寺子屋の師匠源蔵のセリフですが
このお芝居の核心をドキュンんと突いておりますので

ここは、覚えておいてちょんまげ。

clover

あ。さて、

荒事・和事・所作事・時代物・世話物・・
と歌舞伎のジャンルは分れているわけですが。

寺子屋は歌舞伎の中で時代物というグループに属します。
時代物とは大体が「武士社会のハナシ」です。
有名なところでは「仮名手本忠臣蔵」などですね。

時代物のお約束はこれはもう・・
上記
「せまじきものは・・」の世界です。
忠義や礼節のために義理と人情の板挟み・・・

そらあ・・辛いはなしやで。
腹を切るなんて・・。日常ちゃめし事(youkoさん。いただき!)

でもそれはいいんです。自分の腹やから。

気の毒なのは妻や子ども。
お父ちゃんの仕事が 武士であるがゆえに、
   しょっちゅう、殺されますねんshock

たまったもんやありません。

奥様!考えてもみてください。あーたはご主人様のために
      ニッコリ笑って死ねますか?

ましてや、我が子の首を身替りに差し出すことができますか?
「寺子屋」はそんなお話です。

(あらすじ)

武部源蔵(橋之助)は寺子屋の師匠。
書道の神様、菅原道真、直伝というのだから、今でいうカリスマ塾講師だわね。
山城国・今の京都府木津川市あたりかしら、ここで妻・戸波(菊之助)と二人暮らしをしています。

お話の舞台は、彼の自宅兼お教室でございます。

道真さん。時の権力者に嵌められ左遷の身の上なのですが、魔の手はその幼い息子にまで及ぼうとしています。
源蔵にかくまわれていた、若君の殺害命令が下るのです。

おろおろ、おろおろ・・どないしよう。
実子のいない源蔵夫婦はやむなく教え子の一人の首をはねるのでありました。
はい。身替りです。
たまたま、年恰好が同じでやけに気品のある男の子が入塾したばかりだったのです。

グッドタイミング過ぎるやないの・・・・・
授業料も未納やし・・・それはないか!

ほんまに殺ったんやろな!間違いないな!と検分&見届け役に差し向けられたのが・・
いよっ!待ってました!松王丸(片岡仁左衛門)でございます。

雪持松(ゆきもちのまつ)の松王お決まりのお衣裳。
何処から見ても松王丸。
この重厚な衣装で「立派で堂々として風格」のあるきちんとした「忠義の武士」を表現しています。
もちろんヘヤースタイルも生締(なまじめ)と呼ばれるピシッとしたかつら。
丹頂ポマード一本使ったくらいに乱れはございません。

首実検の松王丸。いともあっさり、「コレ。若君だね」と判定するのですが・・・

実はこの首・・・あはれ!・松王が差し向けた実のむすこ。

「持つべきは我が子よのぉおおお」

なんでやねん!トンデモナイ話やおまへんか・・
ヤラセの主犯はお父ちゃんなのね・・・・

clover

ここで、菅原伝授の全段(松王丸の裏事情)を知っていたら面白みが格段上がります。
松王はしきりに三つ子の弟・桜丸の不憫さを嘆きますがこれもしかり。

話が長くなるのでこの辺で。

clover

(感想)

今回は「寺入り」が省かれていた。というよりやらない方が多い。
一幕やもん。やって頂戴。とおたまは言いたいよ。

子ども達の差別化を図るためにも、この部分大事です。
匂うような高貴さの漂う菅秀才
その利発と対極にある涎(よだれ)くりの与太郎(国生)は山家育ちの代表だ。

国生の与太郎は中途半端。微妙に賢そう。年かさである分、もっと阿保げにやってもらいたかった。
其処へ今日やって来た松王一子の小太郎
このあたりの子には見えない品格も、しっかりとこの寺入りの場面で見せて欲しい。

ああ。この子が殺害されるんやなと、客に意識させることで悲劇性が増すのではないか。

源蔵との対面が観客も初見というのはちょっとね。

clover

首の真偽を確かめる最大の山場は敢て書きません。
お帰りなさい。仁左衛門さま。ただそれだけです。
紫の病鉢巻がお似合いだったですよ。ぐすん。

戸波(菊之助)。黒襟つきの石持姿。落ち着いた世話女房が夫を下支えしている雰囲気でとても良かったです。声はスッキリ。姿は驚くほどお祖父さんである七代目梅幸に似ていました。特に鼻から下の顔。さすが血やなあ・・。

松王丸妻・千代(時蔵)。お身替りお役に立てて下さったか」武士の女房の覚悟と健気さが切ない。気品があってぴったりでした。

御台・園生の前(秀太郎)。ピリッと締まりました。


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コメント

勉強になりましたぁ~up
26日に見に行きます。
寺子屋は二回目、
前は誰だったか忘れたけど
今度が一番楽しみどすえ( ´艸`)プププ

投稿: kimi | 2014年7月23日 (水) 09時08分

寺子屋・・・

思い出すたびに涙がでますよ・・・
それなのに何度も見てるし^^
すでにギリシャ悲劇化??
いやいや
見たってすっきりしないのに見てます。

こんな時代にならないように願います。
だから
しん●さん、リタイアしてほしい・・・

投稿: こごろう | 2014年7月23日 (水) 10時36分

おたまさんの歌舞伎入門は
今でしょ先生の講義より面白い♪

若い頃「歌舞伎はよう分からん」と避けていたことを今になって後悔しています。

歌舞伎は奥が深い・・

投稿: maruko | 2014年7月23日 (水) 15時51分

baseballkimiさん
いってらっさいhappy01
三つ子のうち松王だけが菅公の敵、悪役の藤原時平に仕えていたという運命のいたずらが下敷きにあります。
なんとしてでも松王はアイデンティティーをとりもどしたかったのでしょう。
登場の病療養中という設定も「あはれ」を増幅させて・・
そこらの、背景もお含みくだされば
「もう・・子殺しOK!]
あかん。あかん。あかんよ~~~

先日「夜の部」行ってきました。
言いたいこと満載どす。

baseballこごろうさん
定番だけに寺子屋は良く掛りますね^^
「孝夫」時代から幾度となくみていますが
仁左衛門襲名のときの寺子屋が印象にのこっています。この時戸波は菊五郎でした。
今回の菊之助と「親子戸波」です。
歌舞伎の面白さってこういうところにもありますね。

baseballmarukoさん
歌舞伎の楽しみ方って色々な切り口から入れるので面白いなあと思います。
おたまの場合、ただただ舞台の「華やかさ」に惹かれて・・です。
理屈ではない、面白さです。

今は理屈ばかり言ってますがbleah

投稿: おたま | 2014年7月24日 (木) 07時17分

説明が良く分かりました。有難うございます。「寺入り」は見た事が無かった。。。これで理解が少し浅くなりますね。
ただ、何度見ても”忠義”に報いる為に我が子を殺めるという”忠孝の志”がね、どうしても共感できないのよね。時代時代の人々の価値観の変化でしょうねえ。

投稿: アンヘラ | 2014年7月24日 (木) 07時19分

行ってきました、昼の部
何度見ても 鼻をグスグス 目はうるうる・・・

初めて見た歌舞伎が 孝夫・玉三郎の若き日の寺子屋
その時から何度見てもハンカチが要ります

橋之助は良くなった
国生 頑張りましょうに同感です
特に 間が・・・・

菊之助さん、久しぶりですが姿声良かった・・・
夜の部のおたまさんの解説 楽しみしてます

投稿: のさ | 2014年7月24日 (木) 14時55分

baseballアンヘラさん
史実ではこういう、身替りに誰かの首を差し出すということは多くはなかったそうですので、ご安心ください。
あくまでもお芝居の世界だけのようです。

「武士ならそれくらいやらな、あかんで」みたいな考えが庶民に受け入れられてお芝居になっているのかもしれませんね。

baseballのささん
お疲れ様でした^^
仁左衛門さん熱演でしたね。
もう・・熱演はおたまの時だけにしておいてほしいいわ。
体力大丈夫かしら・・と心配です。

栴檀は双葉より芳しといいますので、国生さん期待薄ですdown
こればかりはどうしようもないです。

投稿: おたま | 2014年7月25日 (金) 06時48分

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